優雅に咲き誇る「ノウゼンカズラ ピンク」~魅力と育て方~
ノウゼンカズラ(凌霄花)は、夏の青空によく映える鮮やかな花を咲かせるつる性植物として、日本でも古くから親しまれてきました。一般的にはオレンジ色の花を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、近年では「ピンク色」のノウゼンカズラも人気を集めています。
ここでは、そんなピンク色のノウゼンカズラについて、魅力や育て方、楽しみ方まで詳しくご紹介していきます。
ノウゼンカズラとは?
ノウゼンカズラは中国原産のつる性落葉木本で、学名は Campsis grandiflora。日本には奈良時代に伝わったといわれ、古くから庭園や寺社の装飾植物として重宝されてきました。
太い幹や枝からたくましくツルを伸ばし、夏になるとトランペットのような形をした華やかな花を次々と咲かせるのが特徴です。名前の「凌霄(ノウゼン)」は「空を凌ぐ(しのぐ)」という意味で、旺盛な成長力と空高く伸びる姿に由来します。
一般的なノウゼンカズラは濃いオレンジ色の花を咲かせますが、最近では品種改良や交配によって、淡いピンク色やサーモンピンクの花を咲かせるタイプも登場しています。これらは「ピンクノウゼンカズラ」と呼ばれ、特に女性やナチュラルガーデン志向の方々に人気です。
ピンクノウゼンカズラの魅力
ピンク色のノウゼンカズラは、オレンジ系のノウゼンカズラに比べて、より柔らかく、優しい雰囲気を持っています。夏の強い日差しの中でも、どこか涼しげで可憐な印象を与えるため、住宅地の庭先や洋風ガーデンにもぴったりです。
花色は品種によって異なり、薄い桜色のようなものから、やや濃いサーモンピンクまでバリエーションがあります。満開時には、ツル全体がピンクの花で覆われ、まるで一面の花のカーテンのような華やかさを楽しめます。
また、花のサイズも大きく、直径7~8cmほどに成長するため、遠目からでもとてもよく目立ちます。ツル性植物のため、アーチやパーゴラ、フェンスに絡ませると、見事なグリーンカーテンと花の装飾が同時に楽しめるのも魅力のひとつです。
ピンクノウゼンカズラの育て方
ピンクノウゼンカズラは、基本的な育て方はオレンジ系のノウゼンカズラと大きく変わりませんが、いくつか注意点があります。
■ 日当たりと場所選び
ノウゼンカズラは日光を好む植物です。日当たりが良く、風通しの良い場所に植えることで、たくさんの花を咲かせます。日陰では生育が悪くなり、花つきも悪くなるため、できるだけ直射日光が当たる場所を選びましょう。
また、ツルを伸ばして成長するため、フェンスや壁、アーチなど、しっかり支えとなるものを用意しておくことも大切です。
■ 土壌と水やり
水はけの良い肥沃な土壌を好みます。植え付ける際は腐葉土や堆肥を混ぜ込んで、ふかふかとした土に整えるとよいでしょう。
水やりは、基本的には自然降雨に任せて問題ありませんが、真夏の極端な乾燥期には朝か夕方にたっぷり水を与えると、花付きがよくなります。
■ 剪定と管理
ノウゼンカズラは成長が非常に旺盛で、放っておくとツルが四方八方に伸びて手に負えなくなることもあります。花が終わった後や冬の落葉期に剪定を行い、ツルを整理しましょう。
特に、翌年の花は新しく伸びた枝につくため、冬の間に古い枝を軽く剪定しておくと、春から初夏にかけて元気な新枝が出やすくなります。
■ 寒さへの注意
ノウゼンカズラは比較的寒さに強い植物ですが、ピンク系の品種はオレンジ系に比べるとやや寒さに弱い傾向があります。寒冷地では冬季に根元をマルチング(敷き藁や腐葉土を敷く)して防寒したり、鉢植えの場合は軒下などに移動させたりして、凍結を防ぎましょう。
ピンクノウゼンカズラを楽しむアイデア
ピンクノウゼンカズラは、庭づくりのアクセントとしてだけでなく、様々な楽しみ方ができます。
- アーチやトレリスに仕立てる
玄関先にアーチを作り、そこに這わせると、訪れる人を華やかに迎える素敵なエントランスに。 -
壁面緑化に利用する
フェンスや壁に絡ませて、夏の強い日差しを和らげるナチュラルなグリーンカーテンとして活用するのもおすすめです。 -
鉢植えで育てて移動する
寒冷地の場合、鉢植えで育てて季節に応じて場所を移動させる方法もあります。テラスやベランダに飾れば、ピンクの花が日常に彩りを添えてくれます。 -
花を切り花として楽しむ
咲き始めた花を数輪摘んで、花瓶に生けると、夏らしい華やかな雰囲気を室内でも楽しめます。ただし、切り花の寿命はあまり長くないため、咲き始めを狙うのがコツです。

ピンクのノウゼンカズラに込められた特別な花言葉 ~優しさ、希望、秘めた愛~
一般的にノウゼンカズラは「栄光」「名誉」「愛情」などの花言葉を持っていますが、花の色によって、そこにさらに繊細なニュアンスが加わることがあります。
特に、柔らかな色合いが印象的な「ピンクのノウゼンカズラ」には、独自の花言葉が重ねられています。
ここでは、ピンクのノウゼンカズラに特有とされる花言葉について、詳しく見ていきましょう。
ピンク色が象徴する意味
花において「ピンク色」が持つ基本的なイメージには、
– 優しさ
– 思いやり
– 恋愛感情
– 幸福感
– 希望
といったものがあります。
これらは、赤の情熱を和らげ、白の純粋さを含む、穏やかで温かい感情を象徴する色です。
そのため、ピンク色に咲くノウゼンカズラにも、オレンジ色のノウゼンカズラとは少し違った、やわらかく優しい意味が込められるようになりました。
ピンクのノウゼンカズラの特有の花言葉
■ 優しい心(やさしいこころ)
ピンクのノウゼンカズラには、「優しい心」という花言葉が与えられています。
これは、力強く空に向かって伸びるノウゼンカズラの生命力に、ピンク色の柔らかさが加わることで生まれた意味です。
周囲を包み込むような温かさ、人に安らぎを与える穏やかな存在感を象徴しています。
■ 希望(きぼう)
空をめざして伸びる姿と、春を思わせるピンクの色合いが重なり、「希望」というポジティブな意味もピンクのノウゼンカズラには込められています。
困難な中でも明るい未来を信じて努力し続ける心──そんな前向きなメッセージを伝える花としても親しまれています。
■ 秘めた愛(ひめたあい)
もともとノウゼンカズラ全体に「秘めた恋」「叶わぬ恋」という意味合いがあるため、ピンクの花色になると、その想いはさらに繊細な「秘めた愛」として表現されます。
相手には直接伝えられないけれど、心の中でずっと大切にしている──そんな控えめながらも純粋な愛情を象徴する花です。
■ あたたかな祝福(あたたかなしゅくふく)
ピンクのノウゼンカズラは、祝福の花としてもふさわしい存在です。
たとえば新しい門出や結婚、出産祝いなど、誰かの新たなスタートに寄り添う温かな気持ちを伝えるのにぴったり。
特に「やわらかい幸福感」を表すピンク色は、堅苦しくない自然体の祝福をイメージさせます。

まとめ
ピンク色のノウゼンカズラは、その優雅でやわらかな花姿から、庭の雰囲気を明るく優しく演出してくれる植物です。
育て方も比較的簡単で、きちんと日当たりと管理を整えれば、毎年たくさんの花を咲かせてくれます。
夏の庭に、涼やかで可憐なピンクのアクセントを加えたい方には、ピンクノウゼンカズラはまさにぴったりの存在です。
ピンクのノウゼンカズラは、力強さと優しさを併せ持つ、特別な存在です。
その特有の花言葉である「優しい心」「希望」「秘めた愛」「あたたかな祝福」は、見る人の心をふんわりと癒し、そっと背中を押してくれるような力を持っています。
もし、誰かにエールを送りたいときや、静かに想いを伝えたいときには、ピンクのノウゼンカズラを贈るのも素敵な選択肢です。
ただ美しいだけではない、深い意味を込めた花──それがピンクのノウゼンカズラなのです。
ぜひこの機会に、お庭やベランダに迎え入れてみてはいかがでしょうか。